RECコミュニティカレッジ
龍谷大学の生涯学習講座はRECコミュニティカレッジと呼ばれています。その講座で奈良の話を私がすることになりましたことは、以前に当最新情報でご連絡した通りです。先日その講座「奈良と唐招提寺の魅力を語る」が終了しましたので、講座の内容や現地学習の状況を簡単にご報告いたします。
受講して下さった方々の概要
受講して下さった方は20人で、新規講座としては人気が高いとのことでした。男女比は約半々で、年齢は50代から80代でした。名前のリストを拝見したところでは、おそらくご夫婦揃って来られていると思われるお二人がいました。
また、お住まいは京都周辺の方たちがほとんどだろうと思っていたのですが、滋賀県や大阪府そして三重県などの遠方からも来られていました。奈良と唐招提寺は各地の多くの人から強い関心を持たれているのだと、改めて感じました。
講義の内容
座学は1回90分で2回開催、現地学習は3時間強で1回実施というのが今回の講座の構成です。座学の第1回では、本『迦陵頻伽 奈良に誓う』に出てくる「奈良の情景」の春と夏、および鑑真和上の話、座学の第2回では、同じく本に出てくる「奈良の情景」の秋と冬、そして迦陵頻伽や雫、風月同天と萬世同薫などのキーワードに込めた作者の思いをお話しさせていただきました。
何年かにわたって撮ってきました写真をパワーポイント資料化して、映写しながら説明しましたから、美しい奈良の情景と行事を少しは宣伝できたかなと思っています。
質問のあった事項
受講者の皆さんは唐招提寺のことを良く知っている方たちでした。ほとんどの人が唐招提寺を訪れたことがあり、井上靖さんの小説『天平の甍』は半分くらいの方が読んでいました。それだけに質問や関心も一般的なことより日ごろあまり聞かない事項についてのものが多かったです。例えば、「ケイカ」という花はどんな漢字を書くのか、どんな花なのか、唐招提寺金堂の大きい屋根を支えている「トラス構造」とはどんなものなのか、などです。
現地学習は晴天
今年(2011年)は梅雨入りが早かったせいもあって、受講生の皆さんは現地学習の日も雨模様だろうと思っていたようです。私が現地学習の1週間前の座学時に「鑑真忌の日は例年晴れるのです。私はほとんど毎年、鑑真忌にお参りしていますが、雨に降られた記憶はありません。10月10日(東京オリンピックの開会式の日)のように特異日なのです」とお話しましたら、皆さん半信半疑でした。
そして迎えました現地学習の鑑真忌の日、6月6日は見事に晴れ。お陰さまで講師としての面目を保ちました。集合場所の近鉄西ノ京駅出口に集まった皆さんは、好天に恵まれて、とても喜んでくださいました。
現地学習の内容
参拝した場所や見学した物は順に次の通りです。
1.唐招提寺
①旧開山堂(芭蕉句碑)
②御影堂(鑑真和上坐像、東山魁夷の襖絵、供華園・・・くげえん)
③鑑真和上廟所(和上のお墓の宝篋印塔、萬世同薫と彫刻された香炉、
玉垣の詩、趙紫陽手植え瓊花、趙樸初碑、井上靖の石碑)
④金堂(盧舎那仏坐像、千手観音立像、薬師如来立像)
⑤會津八一歌碑
⑥松瀬青々句碑
⑦戒壇
⑧講堂(弥勒如来坐像)
⑨売店裏の英文の碑
2.薬師寺
①玄奘三蔵院伽藍(玄奘塔、大唐西域壁画殿・・・平山郁夫の障壁画)
現地説明は大勢の参拝者が境内にいて十分には声が通りませんでしたが、できるだけ詳しくお話ししました。特に玉垣に彫られた「巡展礼讃」の詩、井上靖の石碑の裏面に記された文章、および売店裏の英文の碑については、現代語訳等も含めて説明しました。
現地学習の記念写真撮影
唐招提寺と薬師寺において、参加者の皆さんとRECの事務局のお二人、そして私の全員で記念写真を撮りました。パソコンで「奈良と唐招提寺の魅力を語る」と2文字ずつ印字し、A3判用紙に拡大コピーした手作り看板を皆で1枚ずつ持っての撮影です。予想外の企画で皆さん微笑んで下さいました。
なお、手作り看板の末尾には「REC生涯学習講座2011.6.6」と日付も入れました。
今後への改善ポイント
座学では、鑑真和上に日本へ来ていただいた社会背景や来日後の処遇についてもう少し詳しく話したり、川端康成の『美しい日本の私』に出てくる月の歌人・明恵上人の歌などにも触れたりした方が、奥行きのあるセミナーになったかなと思っています。
また、現地学習では、説明に夢中になり過ぎて、受講生の皆さんに一息入れていただくことをまったく思い至りませんでした。3時間強も立ちっぱなし、歩きっぱなしで皆さんお疲れになったと思います。
次回、同じような講座を実施する時は上記の反省を活かすように致します。