●NHK番組「100分de名著」のテキスト
私はテレビを見ないのですが、この前、新聞の広告欄にNHKテレビのテキストが載っていました、そこに「100分de名著」シリーズの『般若心経』」というものがありました。
般若心経のことが理解できず、もっと知りたいと思っていた私はすぐにそのテキストを本屋さんへ行って手に取り、表紙と中身を見てみました。「100分de名著」というのは、名著1冊について週に1回25分の放送を4回行い、トータル100分で概略を説明するという意味だと分かりました。
●理解しやすい100分de名著の『般若心経』
このNHKテキスト『般若心経』は花園大学教授の佐々木 閑(ささき しずか)さんが書いているのですが、非常に分かりやすかったです。
般若心経の内容を、当初の「釈迦が教えた仏教」を乗り越えていく大乗仏教の考え方で説明し、般若心経の最も核になるものは呪文だと述べています。呪文というと、呪うという悪いイメージを持ちやすいですが、ここでの呪文の意味は「祈りの言葉」でしょう。
●NHKテキスト『般若心経』の抜粋要約
私自身の頭の整理の意味で、NHKテキストの『般若心経』を非常に簡単にまとめてみます。
<釈迦の仏教と般若心経、2つの考え方の違い>
1.般若心経は釈迦の教えではない。
2.釈迦の死から約500年後、新興の宗派である大乗仏教が興り、その大乗仏教運動の中で作られた数多くの般若経をもとに、般若心経はできた。
3.般若心経は、般若経の持つ不思議な「神秘の力」を広めるために作られた。
4.般若心経はある意味、釈迦の教えを否定する経典である。
5.釈迦の時代の教えを「錯覚である」と言って否定し、それを超越するようなもう一つ高次の論理をその上にかぶせ、みずからが釈迦の時代の教えよりも上位に立つことを目指した、そういう経典である。
6.釈迦の教えの最大の特徴は、自分の心の苦しみを自分の力で解決する「自己救済」の宗教であるということ。つまり、「自分の問題は自分で解決しなさい」という厳しいもの。
7.般若心経を含む大乗仏教は、仏の力を信じ崇(あが)めれば救われるという思いがある。