西表島の読みはイリオモテジマ

西表島と書いてイリオモテジマとはなかなか「本土」の人間には読めません。しかし沖縄地方では東を「アガリ」、西を「イリ」と読むようです。太陽が東から上がり、西に入るところから来たのか、興味をそそられるところです。

私が西表島を知ったのは大分昔で、イリオモテヤマネコなる特別天然記念物の動物がいたことからでした。石垣島に長期滞在していて、ちょっと変化を感じてみたいと思い、そのヤマネコのいる西表島へ行きました。

イリオモテヤマネコは見られず

イリオモテヤマネコは夜行性であり、昼間に西表島を訪問した私は見ることができませんでした。夜ならば見られる可能性があるのかと思いましたが、このヤマネコは現在、絶滅危惧種に指定されていて生きている数が非常に少なく、島の人でも見るのは難しいとのことでした。道路を車で走って行きますと、ヤマネコに注意の標識が目につきます。夜間、ヤマネコを車ではねることがないようにとの注意喚起です。

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マングローブの川を船で遡る

西表島を流れる浦内川を小さな遊覧船で遡りました。川幅がかなり広く水がゆったり流れているところを遡っていくと、緑の葉をつけた低木が水面の30センチメートルくらい上から水面へ根を何本も伸ばして立っています。マングローブです。塩水と真水の混ざった亜熱帯地域の水辺に繁茂するいろいろな植物で、私が一度見てみたいと思っていたものです。水面上に出ている根は呼吸根と言って、泥の地面ではできない呼吸を水上でしているとのことでした。

遊覧船は乗客に近くで見てもらおうと、マングローブの生えている川岸に近づいていきます。葉が目に入りそうになりました。

亜熱帯ジャングルを歩いて滝を観る

上流の船着き場で下りて、上流にある2つの滝を観にトレッキングをしました。冬でもTシャツ一枚で汗が出てきます。木々が緑濃く茂っています。あるところでは赤茶けた色の根が何枚もの板のようになって地面から出ていました。この板状の根を見せている植物はサキシマスオウノキというのだそうです。私は亜熱帯のジャングルを探検しているような気持になりました。

1つめの滝であるマリユドゥの滝は展望台から見下ろしました。かなりの水量が流れ落ちています。2つ目の滝はカンピレーの滝で間近に観ることができました。水が岩盤の上を斜めに流れ落ちています。汗をかいた体に心地よい水しぶきでした。

閉鎖された日本最南端の天然温泉

以前は西表島に日本最南端の天然温泉がありました。湯量の減少のために2012年10月末で温泉は閉鎖されてしまいました。かつてその温泉に入ったことが懐かしいです。「ネイチャーホテル パイヌマヤリゾート」というホテルの敷地内に入ってすぐの場所に温泉プールがあり、その先に広々とした野原があって長方形の浴槽がありました。白い色の切石とコンクリートで作られた露天風呂です。浴槽に体をつけて周りを見ると、南の島の空は非常に明るく、南国の木々が元気に輝いていました。なぜか落ち着かない気がして、浴槽から抜け出しました。

さらに敷地の奥へ行くと、屋根のかかった風呂があって「やまねこの湯」と名前が書いてありました。風呂は岩を配し、岩の上に太い木の柱を立てて屋根を支えています。その場所は明る過ぎず、落ち着くものでした。私は湯につかりながら、これで日本最南端の風呂に入ったぞと喜んだものでした。その温泉が今はもうないのが残念です。