11月20日(日)に薬師寺で村上太胤管主(かんす)の晋山式(しんざんしき)が行われました。管主は住職のことであり、薬師寺のトップの役職名、敬称とも言えます。また晋山は新たに寺の住職となることです。 村上太胤管主は既に今年2016年の8月に管主となっていたのですが、この度、管主の就任・披露の式が行なわれたわけです。場所は薬師寺の大講堂とその前の境内で、約3000人の信者や関係者が参列しました。 晋山式に参列して私が特に良いなぁと思ったことは次の事柄でした。
1、村上管主の「表白」
表白(ひょうびゃく)は、法会を行う時に導師がその趣旨を本尊および大衆に告げ知らせるものですが、その中に「掲げし法灯を絶やすことなく継承し 七 堂伽藍の復興 薬師寺護持僧および求法されし衆生等 菩薩行者の育成を願わん とする」という言葉がありました。
この言葉は、当日参列者に配布された式次第パンフレット『村上太胤管主 晋山式』に掲載されている管主の「ご挨拶」の末尾の文章と同じ意味だと思います。そこには分かり易くこう書いてありました。
「主要伽藍が復興し、(中略)今後は薬師寺の法灯を護る僧侶と、仏法の精神を基に生活をする人材育成を柱とした中身の充実を図らねばなりません。まほろばの地、奈良から仏法の精神を広める。これが今後の私共僧侶に課せられた勤めであると思っております。」
2、平岩弓枝さんの祝辞
作家で文化勲章受章者の平岩弓枝さんが概略次のような祝辞を述べられました。
「祝辞の原稿は書いてきたけれども、薬師寺へ来るとどうしても思い出す女性の友人のことがあるので、その話をさせていただきたい。
学生時代に友人に頼まれて、一緒に奈良の薬師寺へ来た。友人は境内にしゃがみ込み、東塔を見上げて、涙を流し続けていた。私はそれを見て、寺というものが人の心を慰め、癒すものなのだと知った。
そういう寺を、薬師寺という寺を、新管主には守り発展させていっていただきたい」
3、晋山式の記念品
晋山式の記念品が手提げ袋に入れられて参列者に配られました。記念品は2つあり、1つは村上太胤管主の晋山記念出版の著書『仏法の種まき』、もう1つは表熨斗がかけられた小箱でした。熨斗紙の水引の下には「薬師寺 村上太胤」 と書かれてあり、箱を裏返すと「東北震災復興祈願」と熨斗に印字されていました。
小箱の縁には小さなシールが貼ってあり、「品名 モナカ、製造者 仙台市(株)白松がモナカ本舗」と印刷されてあります。私はこれを見て背中がゾクゾクしてきました。熨斗を取り、包装紙を広げると、書家の町春草さんが書いた細く 綺麗な「白松」というデザイン文字、そして「町」の落款が目に入りました。
箱を開けると中にはミニの「白松がモナカ」が6個入っています。大納言餡と 大福豆餡のものが3個ずつです。
さすが薬師寺さん。東北での震災慰霊法要や震災支援写経だけでなく、東北のお菓子を購入して晋山記念品とするなど、非常に実際的な東北支援もしてい るのだと感心しました。
有難うございます。東北の皆さんに代わってお礼を申したいです。