●東吉野村にある高見の郷
奈良県の桜と言えば吉野山の一目千本の桜が有名ですが、吉野山の東にある東吉野村の「高見の郷」が最近注目されています。ここは枝垂れ桜ばかりが約千本あるところです。近鉄榛原駅から臨時バスに45分乗り、高見の郷の駐車場に到着。入園券を購入して、そこから徒歩かシャトルバスで「天空の庭」へ行きます。シャトルバスは、ずり下がってしまうのではないだろうかと心配になるほどの急傾斜の坂道を登って行きます。
「天空の庭」は高見の郷の主会場で、沢山の枝垂れ桜が満開です。実は私、1週間前に高見の郷へ行こうと榛原駅まで来たのですが、今年は開花が遅く二分咲きと聞いて引き返し、1週間後に出直してきたのです。例年になく桜の開花が遅かった今年の奈良県、しかも標高650メートルという高地にある高見の郷は今やっと満開になったのでした。ちなみに吉野山の中千本のあたりは標高約350メートルです。
快晴の真っ青な空にうすいピンクの花が映えています。木がまだ若い為に桜の花は小ぶりです。近くの緑の山や遠くの青い山並みが見えて、文字通り「天空の庭」です。とても爽快な気分になりました。
桜の下ではベンチやレジャーシートに座って多くの人が花を見ながら楽しく食べたり飲んだりしています。「天空の庭」の一角にはバンガロー的な食事処や売店もあり、手ぶらで行っても楽しめました。ただ、食事処での混雑時の順番待ちはやむをえません。
●展望台からの眺め
展望台への矢印標識があるので、園のスタッフに道を聞いて歩き出しました。最初はなだらかな下り坂だったのですが、途中からかなりきつい登りの階段道になりました。一気に登るのは難しく、時々歩みを止め、道側の手すりを掴みながら登りました。
「千年の丘」と名付けられた展望台からの眺めは素晴らしかったです。先程自分がいた「天空の庭」の一面の桜が一目で観られるのです。手前には白い雪柳や黄色のレンギョウが満開ですし、遠くには木々の山がくっきりと見えます。千年もこの美しい光景が引き継がれるように、と思って展望台の名を付けたということが頷けます。
●高見の郷は新しく作られた園
この高見の郷は林業の衰退で山が荒れるのを憂い、また桜を見ることを日本人が好むことに注目して、園のオーナーが枝垂れ桜の郷を作ったのでした。ソメイヨシノより枝垂れ桜の方が長い年数を生きるためです。2004年に開園したとのことですから今年で13年目です。今でも満開時の桜は綺麗ですが、今後5年10年と経っていけば、さらに樹勢が盛んになり、壮観な枝垂れ桜となるでしょう。奈良に「天空の桃源郷」が出現すると思いました。