①日本書紀に出てくる氷室(ひむろ)

 『日本書紀』の仁徳天皇の巻に氷室の話が出てきます。氷室とは「冬に氷を取って夏まで貯えておく穴ぐら」のことで、現在の奈良県天理市福住町で氷室を見つけ、天皇に氷を献じたという話です。

平安時代には畿内にあった10か所の氷室が記録に残されていますが、氷室は全国に数多くあったようです。その痕跡が氷室という地名や神社になっています。

奈良県には上記の天理市福住町と奈良市に氷室神社があります。

②奈良市にある氷室神社

 奈良市の氷室神社は春日野町、一般に分かり易く言えば、奈良国立博物館の北側にあります。奈良時代、春日山に氷室があり、平安京へ遷都の後にそれを祀る意味で氷室神社が設けられたとのことです。

現在、奈良市の氷室神社は氷関係の事業者から崇拝されていて、5月1日の献氷祭には全国から製氷・販売業者が多数参列します。

また、3年前から氷室神社境内で「ひむろしらゆき祭」というものを実施しています。これは、奈良や全国各地のかき氷店が多数出店して、一般の人にいろいろのかき氷を食べてもらおうというイベントです。現在は5月のゴールデンウィークの時に2日間行われています。

③奈良市かき氷ガイド

 ひむろしらゆき祭実行委員会が発行しているパンフレットに「氷の食文化はじまりの地 奈良かき氷ガイド」があります。表紙には氷室神社やかき氷に関する種々の面白いイラストが描かれています。中を開くと、奈良県の奈良市から飛鳥までの各地のかき氷販売店が紹介され、各店のお勧めのかき氷が掲載されています。

④かき氷の食べ歩き

 猛暑日にしばしば奈良へ行き、市内を歩いていたら喉が非常に渇きました。そこで私もかき氷を食べたので、その内容を紹介します。どちらかというと和菓子が好きなせいでしょうか、今回は和菓子屋さんで食べたかき氷ばかりとなりました。

イ)ならまち「萬御菓子誂處 樫舍」の「樫舍の氷」

 かき氷を入れてくる器が奈良漆器で、華やかな感じでありながら落ち着きがあります。サクサクの氷、かき氷にかけてある抹茶蜜、粒餡、白玉、寒天など、どれも素晴らしい味でした。

ロ)ならまち「寧楽菓子司 中西与三郎」の「梅蜜みぞれ わらび餅付き」

 見るからに白いかき氷が爽やかです。梅の酸っぱさ、蜜の甘さ、それが混ざってさっぱりした味です。黄粉が付いていない冷たいわらび餅も美味しかったです。

ハ)東向商店街「御菓子司 萬勝堂」の「大和茶ミルク金時」

 店頭で販売していたグリーンティーを購入して、店内で飲まさせていただこうと入ったら、店の奥でかき氷を食べているお客さんがいました。美味しそうなので、私もかき氷を注文しました。氷と粒餡の冷たさと甘さが、暑い中を歩いてきて疲れた私の体を癒してくれました。ここでは奈良の観光ポスターとかき氷が丁度良い感じで写真に撮れました。