①急に寒くなった今年の秋
今年の秋は急に寒くなりました。こういう年は紅葉がとても綺麗になると言われていますので、奈良県桜井市にある紅葉の名所の談山神社(たんざんじんじゃ)へ行くことにしました。当初は公共のバスで行く予定だったのですが、台風の影響で道が一部破損してバスが通れないため、別に車をチャーターしての紅葉狩りとなりました。
②談山神社
談山神社は桜井市の南方、多武峰(とうのみね)にある神社です。以前は「大化の改新」と呼ばれ、現在は、歴史的な観点から「乙巳(いっし)の変」と言われている事件において、中大兄皇子、後の天智天皇とともに蘇我本宗家を倒した中臣鎌足、後の藤原鎌足を祭神としています。
藤原鎌足は現在の大阪府高槻市に葬られましたが、長男の定慧(じょうえ)が鎌足の遺骨の一部を多武峰に改葬して妙楽寺という寺を建てました。その23年後の大宝元年(701年)、鎌足の次男の藤原不比等が大宝律令の撰述などで活躍しているときに、多武峰に神殿を建て、鎌足の像を安置したのが、談山神社の始まりです。
なお、談山神社の名前は、中大兄皇子と中臣鎌足がこの山で密議をしたことからきていると言われています、すなわち多武峰が「談(かた)らいの山」であったとの説です。
③紅葉に映える十三重塔
談山神社の拝殿には神社の由緒を描いた多武峰縁起絵巻の模写が展示されているのですが、それをほとんど見ることはせず、今回は今が盛りの紅葉を写真撮影することに専念しました。
談山神社のシンボルと言われる木造の十三重塔が、快晴の空と紅葉に囲まれて素晴らしい姿を見せていました。神廟拝所の方から撮った写真も綺麗です。
④訪ねた日は例大祭の日
紅葉の撮影に談山神社へ行った日は偶然にも例大祭の日でした。例大祭とは祭神の藤原鎌足の命日のお祭りです。本殿前には特別な招待者の席が設けられて神主による祝詞(のりと)奏上が行なわれていました。拝殿には、本殿で行われる神事と舞楽を拝観しようと多くの人がいました。
⑤わびしさを感じた1枚の写真
私は、華やかで美しい紅葉の写真を談山神社で沢山撮りましたが、そんな中で1枚だけ「わびしさ」が写っている写真がありました。
それは拝殿の濡れ縁から吊灯篭と紅葉を撮った写真です。光線の関係で地味な写真になったのか、構図に空間が多いためにそうなったか、それとも鎌足の命日に拝殿で撮ったためにこのような写真になったのか、私には理由が分からず、不思議に思えました。