①大小の岩石が沢山の磐座 

三輪山を登っていくと、途中に「中津磐座(なかついわくら)」というところがありました。標柱の数字は5ですから、行程の中ほどで神を拝む場所のようです。もともと火山岩だったのでしょうか、黒い岩石がごろごろ露出していて、その周りに細いしめ縄が張ってあります。

また、山の八~九合目に相当しそうな場所には小さい簡素な社が建っていました。高宮神社(こうのみやじんじゃ)です。

そして、短い距離で標識9の「奥津磐座(おきついわくら)」がありました。「中津磐座)」よりももっと多くの岩石が木々の間に広がり、ところによっては積み重なっています。こちらも細いしめ縄で結界がされています。上のほうを見ると、大きな岩石の真上の辺りだけ木々に囲まれた狭く青い空が見えました。ほとんどの周りの樹木の名前は分からないのですが、空に際立つように松の枝のようなものが出ています。このぽっかり開いた空が神の降りてくる通路で、大きな岩石が神の依り代(よりしろ)なのかと見つめました。

②裸足の登拝者 

「奥津磐座」の奥へも道があるようなので、そちらへ足を運びましたが、通行止めになっていました。やむなく戻ってくると、磐座の前で中年の女性が低い声で祈っています。両手を前で合わせたかと思うと、体の両脇に広げて祝詞のような言葉を発しています。足元を見ると驚いたことに裸足です。足裏の数か所に絆創膏のようなものを貼っていますが、この凸凹した登拝道を裸足で登ってくるのは難行だろうと思います。何か願をかけての登拝かもしれません。

私は社務所に4時までに帰らないといけないので、早々に山を下り始めました。下山の途中で、今度は裸足の男性が軽快な足取りで登ってくるのに出会いました。三輪山を崇拝し、生活に密着している人達の間では裸足での登拝が定着しているのだと思いました。