① 蓮の花に持っていたイメージ

私が蓮の花に持っていたイメージは、抹香臭いもの、お葬式に関係するものというもので、あまり好きな花ではありませんでした。

はっきり言えば嫌いな花でした。盆菓子は蓮の花の形をした落雁ですし、仏事の熨斗袋にも黒い蓮の絵が描かれているからでしょう。

しかし近年は、蓮の花が大好きな人と知り合いになり、いろいろと蓮の写真を見せていただいているうちに、悪いイメージが薄れてきました。

考えてみれば、蓮は泥土の中できれいな花を咲かせ、いろいろな仏像の台座にもなっていますから、尊重すべきものなのかもしれません。

②奈良のロータスロード

奈良市ではここ数年「ロータスロード(蓮の道)」という観光コースを宣伝しています。

近鉄の大和西大寺駅近くの「西大寺」、そこから南の方へ15分ほど歩いた所にある「喜光寺」、そして西ノ京にある「唐招提寺」「薬師寺」の合計4つの寺が協力して境内に蓮の花を咲かせ、参拝客を増やすことに取り組んでいます。

年によって開花時期は異なりますが、各寺ともおおむね6月中旬から7月中旬に次々と蓮の花が咲き、その美しさに触れることができます。

4寺を一日で歩いて観て回るのはちょっと健脚向きですので、近鉄の西大寺駅や西ノ京駅にあるレンタサイクルを利用するか、2日に分けて歩くのが良いと思います。

なお、現在、西大寺は東大寺ほど有名ではありませんが、昔は東の東大寺と肩を並べる西の大寺でした。

また喜光寺の本堂は、東大寺の大佛殿建立の参考にしたとの伝承から「試みの大佛殿」と言われています。確かに小振りながらも形が東大寺の大佛殿と似ています。

③各寺の蓮の在り処

西大寺は、本堂の前の東塔基壇跡の周囲に蓮の鉢が置かれ、花が咲いています。

喜光寺は南大門を入って本堂の前の西側に蓮が咲きます。

蓮の花と「試みの大佛殿」が絵になります。唐招提寺は5か所で蓮が観られます。

金堂前、売店傍、以前に金堂修理所のあった所、戒壇前の蓮池、そして本坊の庭です。

開花が遅い蓮池以外は鉢植えの蓮です。薬師寺は白鳳伽藍の食堂前に蓮鉢が並べられています。