① 夏の奈良の夜を楽しむ

夏の奈良の夜の楽しみとして8月前半に行われる「なら燈花会」があります。

早いもので今年2018年は20回目の開催となり、主会場の奈良公園一帯は多くの人で賑わいました。

8月後半には昨年から始まった「ならまち遊歩」があります。

今回は、「なら燈花会」と「ならまち遊歩」の間のお盆に行われる行事を写真撮影に行きました。

お盆の15日には東大寺の万灯供養会、春日大社の中元万燈籠、高円山(たかまどやま)の大文字焼きの3つの行事がありますが、大文字送り火は時間の関係でパスしました。

なお、京都の大文字を含む五山送り火は盆の精霊送りの関係で8月16日に行われますが、奈良の大文字送り火は戦没者慰霊と世界平和を祈るという考えから終戦記念日の8月15日に行われています。

② 観相窓から大仏の顔を撮影

奈良の大仏として親しまれている東大寺の廬舎那仏坐像は、通常、大仏殿の中で拝観します。

しかし、元旦の午前0時から午前8時までと、お盆の万灯供養会が行われる8月15日の午後7時から10時には、大仏殿の唐破風(からはふ)の下の観相窓(かんそうまど)の扉が開かれ、大仏殿の外から大仏の顔を拝めます。

なお、最近では「なら瑠璃会」が行われる2月上旬にも観相窓が開扉され、中門の外の遠くからだけになりますが、大仏の顔を観ることができます。

これまで私は観相窓から大仏を拝顔したことがなく、その写真も撮ったことがないため、写真撮影を第一目的に出かけました。

まず、東大寺南大門の金剛力士立像がライトアップされていましたので、それを撮影しました。提灯と一緒に写る力士像はやはり昼間見るものとは違って、さらに迫力があるように見えました。

中門の中に入ると、大仏殿に向かって参道の中央と左右両側に灯篭が列をなして延びています。大仏殿はライトが当てられうっすらと青みを帯びた銀色に輝いて見えました。柔らかく曲線を描いている唐破風の下の観相窓が開けられていて、大仏の角張った顔が観えます。カメラが光量不足なのでストロボを使うように警告をしてきますが、大仏は遠くであるためストロボは用をなしません。なんとか写真がいい具合に写ってくれるのを願ってシャッターを押しました。

大仏殿の左右には灯篭が沢山置いてあり、ゆらゆらと灯が揺らめいています。その幻想的な光景を見て、万灯供養会が盂蘭盆(うらぼん)の法要であることを思い出しました。

③ 春日大社の中元万燈籠

東大寺を出て春日大社に向かいました。石燈籠に灯は入っているものの参道はかなり暗いです。多くの参拝者が手提げ提灯や懐中電灯で足元を照らしながら本殿へと歩いて行きます。

本殿の回廊には数多くの燈籠が釣り下げられ、灯がともされています。燈籠は鉄などで作られているのでしょうか、その古色蒼然とした外観と中から発せられる淡い光が夜を静かに感じさせます。

薄暗いところでは燈籠の明かりだけが連なって見えます。幽玄の世界とはこういう所を言うのかもしれないと思いました。写真では暗さがちょっと際立っているような気がします。

また、鍍金された釣燈籠も沢山あり、朱塗りの回廊に映えていました。