①奈良県北東部にある室生の里

室生の里は奈良県北東部の宇陀市にあります。

近鉄大阪線の室生口大野駅から磨崖仏で有名な大野寺、女人高野で知られる室生寺、そして吉祥龍穴を巡りました。

大野寺、室生寺は何度か来ているのですが記憶が薄れています。吉祥龍穴は今回初めて見学です。

②大野寺

小雨がぱらつく中、傘をさして室生口大野駅から大野寺まで歩き、道路から宇陀川の対岸にある岩山の弥勒磨崖仏を拝観しました。

対岸から観ても堂々たる大きさで、岸壁が仏様の立っているような形で彫られていますが、残念ながら仏様の顔や姿は分かりません。

光背に相当する部分が底の浅い穴のように岸壁へ彫られている感じです。

大野寺の境内に入って磨崖仏の遥拝所から拝観すると、ちょっと弥勒菩薩の頭のような線刻が見えた感じがしました。

遥拝所は道路より若干高い所にありますから、磨崖仏を見る角度によって見え方が違ってくるようです。

本堂には磨崖仏の拓本が展示されていました。室内の明かりを付けると、弥勒菩薩の美しい眉や目がくっきりと見えました。

磨崖仏は年月で姿かたちをほとんど留めていないのだと私は思い込んでいましたが、遠くから見るから見えないので、近付けば今も弥勒菩薩像ははっきりとその姿を見えることを知りました。

大野寺は磨崖仏の他に枝垂れ桜でも有名なのですが、樹齢が長くなって樹が弱まったせいでしょうか、可哀想なことに枝がかなり切り落とされていました。

③室生寺

室生寺はこれまで紅葉の時とゴールデンウィークの石楠花の見頃の時に来ていました。

今回のように観光シーズンでない時に来るのは初めてと言っていいくらいです。雨が降ったり、止んだりする中を境内に入って行きました。写真撮影場所として人気の「よろい坂」の石段が雨に濡れて光っています。

驚いたことに、金堂の内部を外から見ることが出来ました。周囲が天候のせいで薄暗いためでしょうか、金堂の仏像が柱の間から微かに見えるのです。以前に、と言っても大分年数が前ですが、室生寺へ来たときは堂内が暗くて、ほとんど仏像が見られなかったと記憶しています。そのため室生寺の仏像は私の中であまり印象に残っていなかったのです。

金堂内に入ると、堂内の仏像がはっきりと間近に拝観できました。

何年か前にLEDで堂内を明るくしたと寺の方が説明してくださいました。仏像についても詳しく話して下さり、現在建設中の宝物館が完成したら、金堂内の仏像の何体かはそちらへ移されるとのことでした。

金堂の仏像では中尊の釈迦如来立像、そして十一面観音菩薩立像が印象に残りました。

本堂では、如意輪観音菩薩が易しい雰囲気が伝わってきて良かったです。

本堂を出たらお地蔵さんの石仏が並んで立っていて、前掛けが可愛かったです。

室生寺の五重塔は屋外の五重塔としては日本で最も小さいものですが、今回もその「小さな貴婦人」とも言うべき姿を、見せてくれていました。

この後、奥の院までの石段を登りました。かなりきつい石段です。奥の院から降りてくる時には雨も上がってきたのですが、まだ石段が濡れていて、滑らないよう気を付けるのに苦労しました。

 
大野寺の磨崖仏
遥拝所から観る磨崖仏
室生寺のよろい坂
小雨降る室生寺金堂
ずらり並ぶ石仏
靄の中の五重塔