①秋桜がいっぱいの藤原京

藤原京は都が平城京(奈良)へ移る前に都であったところです。持統、文武、元明の三代の天皇が政治を行った場所で、日本で初めて本格的に区画整理された広大な都でした。

北に耳成山(みみなしやま)、西に畝傍山(うねびやま)、東に天香久山(あまのかぐやま)の大和三山があります。

現在は橿原市と明日香村にまたがる藤原京跡が国の特別史跡になっています。

朱雀大路跡から藤原宮に向かって北へ歩くと、朝堂院南門跡の柱をイメージさせる朱色の丸い、高さが1メートルくらいに揃えられた石の列柱が建っています。

列柱の向こうには耳成山が帝王のようにドンと構えています。

秋の藤原京は秋桜(コスモス)が一面に咲いて綺麗です。たまたま今回藤原京へ行っていた時に陽が西に傾き、光線の感じが赤みを帯びました。夕日になる前の微妙な色合いの秋桜の風景写真が撮れました。背景は天香久山です。

なお、秋桜は花の種類が多く、一つ一つの花を見るのも楽しいです。ピンクや白の花だけでなく、花の中央部と外縁部で赤紫色の濃淡が違うものや、赤紫色で縁取りされた白い花、逆に白で縁取りされ花びらの中にも白い線が入った薄桃色の花などが咲いていました。

②石仏に優しい秋桜

奈良市街で秋桜が美しいところは市街北部の般若寺町にある般若寺です。

般若寺は平重衡による南都焼き討ちで戦場となり、伽藍が焼失しました。

その後、伽藍は復興されていくのですが、現在に残る般若寺のシンボル的な十三重石塔は、東大寺再建のために日本へやってきた宋の人が建てたものです。

般若寺はコスモスの寺として知られていますが、ここの秋桜で私が好きなのは、観音石仏と秋桜が秋の柔らかい陽射しに照らされている情景です。

石仏の優しさ、秋桜の控えめな美しさ、そして微笑むかのような陽の光が、気持ちを温かくさせてくれるのです。

③秋桜で飾られた法起寺の三重塔

斑鳩の空は高く、地はどこまでも広く感じます。そんな好天の日に斑鳩三塔の一つがある法起寺へ行きました。

田は稲刈りが済んでいて、遠くに法起寺の三重塔が見えました。

法起寺は、聖徳太子が法華経について人々に話をした岡本宮が前身で、太子の遺言で子の山背大兄王が宮を寺に改めたと言われています。

法起寺に近づくと今満開の秋桜が一面に咲いていました。多くの人が花を観に来て、写真を撮っていました。

秋桜で飾られた日本最古の三重塔は、少しはにかんだように見えると同時に、少し嬉しそうにも見えました。

写真
耳成山と藤原京跡
秋桜咲く藤原京跡と天香久山
いろいろな秋桜の花
般若寺の秋桜と石仏
斑鳩の秋(法起寺界隈)
一面の秋桜と法起寺三重塔