奈良市の西部にある霊山寺
地下1階にある近鉄奈良駅の東改札口を出た所に霊山寺(りょうせんじ)のポスターが掲示されていました。
私は長いこと霊山寺に行っていず、記憶もほとんどないので、先日久し振りに拝観してきました。
場所は奈良市の西部で、近鉄富雄駅からタクシーに乗って行きました。
バスの便がほぼ一時間に一本しかなく、ちょっと不便です。
タクシーの運転手さんも、「交通の便が悪いから、ここまでは外国の人は観光に来ない」と言っていました。
②境内にバラ園や風呂がある寺
霊山寺はバラ庭園があることで知られ、春と秋には多くのバラが咲きます。
バラはヨーロッパの花、そしてトゲがある花というイメージが強いため、寺にバラというのは「ちょっと合わないのでは?」と、以前、私は思っていました。
しかし、最近は他の寺でもバラを植えているところがあり、違和感は少なくなってきました。
外国映画などでは葬儀の時にバラが使われているシーンも観たような気がします。
また、霊山寺には薬師湯殿という建物があって、中に薬草風呂があります。
寺の境内に一般参拝者の誰もが入れる風呂があるというのは、現在は例が少ないのではないでしょうか。
境内にはその他に、大霊園、喫茶・軽食の休み処、本格会席料理が食べられる宿坊、多目的スペースなどいろいろな施設があります。
③落ち着いた堂塔や石碑などがある寺
霊山寺の境内は綺麗に整備されています。
バラの開花時期と違う二月は、参拝客や観光客も少なくて静かです。
境内には行者堂や三重塔、鐘楼、本堂など落ち着いた堂塔が建っています。
また、赤膚焼で造られた行基菩薩像や、インドから日本へやってきて東大寺大仏の開眼供養の導師となった菩提僊那僧正の供養塔などがあります。
行基菩薩と菩提僊那僧正の二人が霊山寺を開いた人とされているのです。
行基菩薩像は、近鉄奈良駅前の行基広場にある菩薩像とほとんど形が同じです。
霊山寺のものと同じ行基菩薩像を二年ほど前に奈良県御所市の九品寺(くほんじ)で見たことを思い出しました。
また、菩提僊那僧正の供養塔は高さが50センチメートルくらい、甘く見積もっても70センチメートルくらいしかないだろうという、思いのほか小さいものです。
供養塔の大きさが感謝の気持ちの大小を表すものではないと思いながらも、日本人は他国から日本へ来て貢献してくれた人に対して、感謝の気持ちがどうも少ないように感じました。
本堂の本尊の薬師如来と脇侍の日光・月光菩薩が秘仏で拝観できませんでした。暗い堂内に厨子しか見えないのは残念です。
私が本堂側の敷地で興味深く見つめたものは、行基菩薩と菩提僊那僧正の二人の歌が彫られた石碑でした。
日本へやってきた菩提僊那僧正を難波津へ迎えに行った行基菩薩が歓迎の気持ちを述べた歌、そしてそれに応えた菩提僊那僧正の歌が、一つの大きな石に並べて彫られていました。
④意外なものがある寺
霊山寺は先に書いたようにいろいろな施設があり、それだけでも凄いなぁと思うのですが、さらに吃驚するものが境内にあります。
それは、ゴルフ練習場と、金箔やプラチナ箔で飾られた建物です。
ゴルフ練習場は三重塔へ行く道の左手下方にあります。ゴルフボールが飛んでこないよう青い金網が道の側に立っていました。
金箔押の建物は、黄金殿と名付けられた堂で、大辯財天を、プラチナ箔押の建物は、白金殿と呼ばれる堂で、大龍神を祀っているとのことです。
両方の堂はそれぞれにガラスで外側が囲われていて、左に黄金の堂、右に白金の堂が見えました。