①里人が守る厨子
賣太神社から大和郡山市丹後庄町(たんごのしょうちょう)にある千體寺(せんたいじ)へ向かいました。
ここには素晴らしい厨子があるとのことです。地元の人が寺の管理をしていて、収蔵庫の扉を開けるために早い時間から待っていてくださいました。
本堂が1998年の台風で大きな被害を受けたため、新たにコンクリート造りの収蔵庫を建て、厨子をクリーニングした上で保存したそうです。
その費用約3,200万円は地元の古くから住んでいる人たちで出し合ったとのことです。
費用を出し合い、収蔵庫の開扉や閉扉を当番で行うなど、里の皆さんが厨子を守っていることに頭が下がりました。
日本の各地で里人に守られている寺や仏像がありますが、私はそれらを拝観するたびに、地元に根付いた信仰の深さを強く感じます。
②素晴らしい紫檀塗螺鈿厨子と阿弥陀三尊像
収蔵庫の重い扉が開けられました。中には高さが2メートルくらい、幅が約1.5メートル、奥行が1メートル弱の茶黒い厨子(ずし)が据え付けてあり、厨子の中には阿弥陀三尊像が安置されています。
厨子は漆で木目が描かれ、紫檀塗(したんぬり)と呼ばれています。
また、厨子の下方、基壇部分にはお坊さんの絵が描かれ、その周囲の枠には細かい螺鈿(らでん)が張り付けられています。
厨子の両側面と奥の面には小さい仏像が数限りなく飾られています。
これが千體仏なのでしょう。阿弥陀如来像は黄金で光り輝いています。
向かって右側の観音菩薩、左側の勢至菩薩は共に黒く落ち着いた色で、腰を曲げ、身を乗り出すようにしている姿が生き生きとしていて素晴らしいです。
写真撮影が禁止されていますので、里の人からいただいたリーフレットの写真をスキャンして、掲載します。
里の人によって扉が開けられ、中にある美しい厨子と阿弥陀三尊像が眼の前に現れた状態を想像してみてください。