①帯解駅はJR奈良駅から南へ2つめの駅
帯解(おびとけ)という一風変わった名前の駅はJR桜井線(愛称は万葉まほろば線)にあります。
JR奈良駅から南に2駅行ったところです。
駅から徒歩数分で帯解寺に着くことができます。
実は電車の中から一瞬、木々の間に寺の一部が見えるのですが、往くときには気付きませんでした。
②皇室も将軍家も祈願した安産の寺
帯解駅から歩いて行くと、最初に目に入るのは鐘楼とそこに掛けられた大きな看板です。
看板には「安産・求子 帯解子安地蔵 帯解寺」と書いてあります。
求子は「ぐし」と読み、寺名は「おびとけでら」です。
山門の寺名板には「文徳・清和両帝勅願所 美智子皇后安産帯献納所 子安山帯解寺」と書いてあります。
ここは皇室および徳川将軍家が安産や子の授かりを祈願した寺として知られていて、今も多くの人からあつく信仰されています。
帯解寺の名称は、文徳天皇が親王の誕生を喜び「無事帯が解けた寺 帯解寺」と勅命したことによります。
江戸時代には後の三代将軍・家光や四代将軍・家綱の誕生がこの寺で祈願されたとのことですし、最近では帯解寺が美智子前皇后や雅子皇后などに安産岩田帯(腹帯)や安産祈祷札を献納しています。
なお、天皇・皇后両陛下が代替わりし元号も令和になりましたから、あるタイミングで(大嘗祭の後?)寺名板の一部記述も「美智子皇后安産帯献納所」から「雅子皇后安産帯献納所」に変わるのではないかと思いました。
③寺で見た珍しい物
寺の受付で、これまで見たことのないものを見ました。それは腹から脚にかけてのマネキン人形に取り付けられた腹帯です。受付で腹帯を授与しているので、ここが安産祈願の寺であることを実感しました。
寺の説明によると、安産祈祷を受ける人には腹帯に御朱印して授与するのだそうです。
靴を脱いで本堂へ上がると、入ってすぐの所(外陣)の右側に長い座布団が掛けられたクラシックな木製の長椅子が置いてありました。その背板には「犬印姙婦帯」と古い文字で広告が書いてあり、ここが安産祈願の寺であることを 再び実感しました。
④本尊と本堂内陣に展示されていた礼状
本尊は子安地蔵菩薩で、とても丸い顔をした木造の像です。腹のところには古代の衣装で腰から下につける裳(も)の紐の結び目が彫られています。
そのため「腹帯地蔵」とも呼ばれています。
内陣にはガラスケースが置いてあり、中に東宮侍従や親御さんからの安産の礼状が展示してありました。
その飾り気のない展示に、かえって関係者の心からの願いや感謝の気持ちが素直に感じられて良かったです。
⑤沢山の絵馬
本堂の外へ出て境内を改めて観て回りました。新御堂などの新しい建物がありましたが、特に私の印象に残ったものは奉納され境内に飾られていた沢山の絵馬でした。
絵馬には両親や祖父母のそれぞれに異なった安産祈願の言葉が書かれていて、「無事子供が産まれてきますように!」とのあつい思いがこちらの胸に強く伝わってきたのです。