①東塔修理の素屋根が解体され始めた
国宝の東塔の解体修理が進み、東塔を囲っていた素屋根が解体され始めました。
美しい東塔の先端部分と上層部が姿を現して来つつあります。その姿を見て、「懐かしいなぁ」と思いました。
素屋根の建設工事が始まったのが2011年の8月下旬で、素屋根の完成が2012年の3月ですから、約7年半ぶりの再会です。
薬師寺の最新の発表によると、東塔の解体修理の完成見込みは来年2020年の4月で、4月22日から26日までの5日間、東塔完成法要を営むとのことです。完成が待たれます。
②本坊寺務所前の桜が松に
薬師寺の玄奘三蔵院伽藍に本坊寺務所があります。
入口が「お写経道場」と同じ建物です。その本坊寺務所前の境内にはかつて岐阜県・根尾の淡墨桜(薄墨桜)がきれいに花を咲かせていたのですが、木が病気にやられたのでしょうか、ある時無残に多くの枝が切り落とされていました。
そして今回、桜は撤去され、新しく盛り土されたところに松の木が植えられていました。
どうしたのでしょうか。「お写経道場」前にあった桜も今は無く、本坊寺務所前と同じく松が植えてありました。
今度、機会を見つけて何があったのか薬師寺さんに聞いてみたいです。
③慈恩殿に元首相の細川護煕氏が描いた障壁画
玄奘三蔵院伽藍にある慈恩殿は法相宗開祖の慈恩大師の名を冠した建物です。
このたび、元首相の細川護煕氏が描いた障壁画が奉納され、一般に公開されました。
堂内の襖と壁面に66場面という多くの絵が描かれています。
テーマ名は「東と西の融合」で、内容は法相宗の教えが西から東へ伝わってきたことを描いたとのことです。
堂内への入口は南側にあり、南の壁面や南西そして東南の壁面には地色が藍や赤で、夜や夕暮れ、また朝焼けの感じが伝わってきます。
そして、その他の多くの絵は地色が黄色で昼間のイメージです。
私が興味深く観た絵は高座正面の襖の奥に描かれた菩提樹です。
釈迦を表しているとのことです。釈迦をそのまま描くのではなく、象徴的なもので描くというのが斬新な感じを受けました。
また、菩提樹の葉が孔雀の羽を広げた姿に似ているような気がして、仏教では孔雀と仏が関連のあるものであったことを思い出しました。
堂内はフラッシュをたかなければ写真撮影OKとのことでした。とても良いことだと思います。
④薬師寺に3つの障壁画が揃った
これで薬師寺には3つの障壁画が出来たことになります。
1つめは平山郁夫画伯が玄奘三蔵法師のインドへの求法の旅を描いた大唐西域壁画殿の「大唐西域壁画」、2つめは田渕俊夫画伯が描いた食堂の「仏教伝来の道と薬師寺」、3つめが今回の細川護煕氏が描いた慈恩殿の「東と西の融合」です。
どれも大作の障壁画ですから、関心のある方は3つの絵を鑑賞して、自分の好みはどれか考えてみるのも良いでしょう。