「会津八一のうたにのせて:奈良展」の開催
平城京遷都1300年祭の特別展として「会津八一のうたにのせて:奈良展」が開催されています。これは今年、新潟、東京、奈良と順次開催されてきているものですが、奈良展の開催概要は次の通りです。
期 間:2010年11月20日(土)〜12月19日(日)
・9:00〜17:00(金・土は21:00まで)
・休館日・・・月曜日
場 所:奈良県立美術館
・奈良市登大路町10−6
・近鉄奈良駅より徒歩5分(奈良県庁の北隣)
會津八一:美術史家、歌人、書家。古寺と仏像に日本の美と魂の存在を見出した人。
奈良の古寺や仏像を歌った歌集『南京新唱』および、歌集に自ら注釈を加えた『自註鹿鳴集』が有名。
展示内容:古仏との出会い、詠まれた和歌、交流した人々。
『南京新唱』と『自註鹿鳴集』
『南京新唱』と『自註鹿鳴集』についての會津八一の説明を簡単化して書きますと、『南京新唱』の南京は「ナンキン」ではなく「なんきやう」と読み、奈良のことを指しています。これに対して京都を「北京」ということが行われています。
『自註鹿鳴集』の鹿鳴とは、會津八一が青年の日よりしばしば奈良地方に遊んで、歌集の歌の多くが、その間に詠まれたものであるためです。
會津八一の歌で好きなもの
會津八一の歌で私の好きなものは、前回ご紹介した
(唐招提寺にて)
「おほてら の まろき はしらの つきかげ を
つち に ふみ つつ もの を こそ おもへ」
ですが、それ以外では次のものが好きです。
(大安寺をいでて薬師寺をのぞむ)
「しぐれ ふる のずゑ の むら の このま より
み いでて うれし やくしじ の たふ」
(御遠忌近き頃法隆寺にいたりて)
「うまやど の みこ の みこと は いつ の よ の
いかなる ひと か あふが ざらめ や」
(夢殿の救世観音に)
「あめつち に われ ひとり ゐて たつ ごとき
この さびしさ を きみ は ほほゑむ」
會津八一の『自註鹿鳴集』を片手に晩秋の大和路を歩くと、奈良の良さが分かるのではないでしょうか。